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ぎじっか【義実家】
1 盆や正月、彼岸の頃にSNS上でよく見かける言葉の一つで、使用例が豊富にあるにも関わらず、国語辞典やネット辞典には掲載されていない謎の言葉。謎の言葉ではあるが、ほとんどの人に対して意味は通じるし、つい使用してしまう。2 義理の実家、つまり配偶者の実家の意味。使用例の割合だと、99%は女性が使う言葉。
男性が配偶者の実家のことを言う場合は「カミさんの実家」等の言葉遣いになることがほとんどである。3 義父、義母、義兄(弟)夫婦、義甥、義姪、義犬、義猫たちが住んでいる。
4 往々にして「私の実家とは違うのよ。一緒にしないでね。こんな変な家。」の意味が微妙に含まれることがある。もちろん義父と義母との信頼関係がしっかりできていても使用する例も少なくないので、偏見を捨ててフラットな心で「義実家」の投稿を優しく生暖かく見守ることも人として大切な行動である。
ー私の勝手な意見ー
目次
ギーギーうるさい!
義実家、義父、義母と、「配偶者の」実家や父母を「私の直接の血縁ではない」ことを殊更強調する意思を含めて紹介するときに使うのではないでしょうか。
SNSで目に付くのが、
「義実家に行き、義父と義母をピックアップして一緒にご飯を食べました。美味しかった〜」みたいな投稿。
一文に義を3つも使わんでもよくない?
「夫の両親も交えて飯食った」んだよね。
シンプルに伝える方法があるのに、わざわざ「義」をつけるのには理由があるはず。読んでいてもひしひしと感じられます。
配偶者の実家に「義(理)」をつけることで明確にしたい気持ち、伝わってきますよ!
そもそも「義理」とは
https://kotobank.jp/word/%E7%BE%A9%E7%90%86-53569
1 物事の正しい筋道。また、人として守るべき正しい道。道理。すじ。「義理を通す」「義理にはずれた行為」
2 社会生活を営む上で、立場上、また道義として、他人に対して務めたり報いたりしなければならないこと。道義。「義理が悪い」「君に礼を言われる義理はない」「義理をわきまえる」
3 つきあい上しかたなしにする行為。「義理で参加する」
4 血族でない者が結ぶ血族と同じ関係。血のつながらない親族関係。「義理の母」
5 わけ。意味。
「義理の実家」なので直接の血縁関係はないけれど、「結婚をしたがためにつながりを持った人たちの家」とでも言えましょう。「義理」に含まれている「つきあい上」「仕方なく」の意味を考えると、自分の実家とは一線を画したい気持ちがにじみ出ています。
そもそも「義実家」なんて言葉は無い
意味は通じますよ。義実家。
義理で生じた実家です。意味を推測するのはとても簡単です。
でも、昭和47年に発刊された国語辞典にも、常にアップデートされているデジタル辞典にも存在しない「義実家」という言葉をあえて使う人は、「配偶者の実家と私はもともと関係が無い。」との意思表示をしているのだと思います。気持ちは分からんでも無いです。
現代日本においては、ひと昔ふた昔前とは「家」に対する考え方が違います。嫁(または婿)をもらって「家」を継ぐのが正しい家庭運営であり、脈々と続いているものを次世代に繋げる活動であった時代から、結婚は個人のものとする時代の移り変わりがあります。
私だったら
私が結婚するとき、カミさんの家でお許しをもらう際に申し上げた言葉は今でも鮮明に覚えています。
「ええっと、えっとですね、こういう言い方をすると失礼なのですが、◯◯さんは一人っ子なので、将来的にはおとうさんおかあさんのご面倒を見させていただこうと思っております。」
あちらのお母さん「よろしくお願いします。」
私のお母さん「よく言った。えらい!」
結婚という個人のつきあいの延長に配偶者の実家、配偶者の血縁関係が存在します。常に分け隔てるように考えていると、「義実家」なる言葉が定着するんだと思います。
結婚を機に、家族や親戚が増えたと感じるのであれば、どっちの親も大切にすべきだし、兄弟姉妹が増えれば友達でもなく家族でもない濃い人間関係が生まれるものでしょう。
まあ、結婚後に増えた血縁関係に対してのほほんと述べられるのは、恵まれた家庭環境、恵まれた親戚づきあいがあったからでしょうね。これがややこしい人間関係になっていたら、平気で「義実家」「義父」「義母」「義従兄弟」「義甥」「義姪」(いずれも辞書に載っていたり載っていなかったり)なんて言葉を乱用しているはずです。
「義(理)」を使うことで、「ややネガティブな感情が見受けられることもある」と感じるので、私は「カミさんの実家」「カミさんのお母さん」と言うようにしています。
クイズ
「カミさんのお義母さん」ってだ〜れだ?
「カミさんを産んだ人、私からしたら義母に当たる人」も正解。
「カミさんが結婚してから義理で血縁関係になった私の母親」も(無理やり)正解。
まとめ
「義実家」なる言葉はありません。
ありませんが、言葉は生きています。みんなが使って認知されれば、そのうち国語辞典に掲載されるかもしれません。今から注目ですよ。
アイコン写真は愛用している『新明解国語辞典』(三省堂/第十五刷)
昭和47年に第一刷で、現在は第7版が出ています。
この記事を書いた人の著書
『ねこ背を治す教科書』(伊東稔/ソーテック社)
伊東 稔
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