梅雨について調べてみた

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例年通りの梅雨入り

沖縄では5月にはすでに、そして今週に入り本州も梅雨入りしました。
6月7日の長野市は朝からザーザーと雨が降っています。
例年、関東甲信地方は6月8日前後に梅雨入りが発表されます。
(去年2018年は6月6日でした。)

梅雨(つゆ)ってなあに?

6月ごろの雨が多い季節、またはそこで降る雨のことを「梅雨(つゆ)」と呼びますが、梅雨って何なのでしょうか?

つゆ
①六月から七月の初めごろまで降り続くながあめ。さみだれ。ばいう。
②つゆの季節。〔普通、梅雨と書く〕
ー新明解国語辞典(三省堂)より抜粋ー

調べるまでもなく、想像通りそのままの意味でした。

なぜ梅雨の季節がやってくるのでしょうか?

梅雨
東アジアでは、春や秋は、温帯低気圧と移動性高気圧が交互に通過して周期的に天気が変化する。一方、盛夏期には亜熱帯高気圧(太平洋高気圧)の影響下に入って高温多湿な気団に覆われる。そして、春から盛夏の間と、盛夏から秋の間には、中国大陸東部から日本の東方沖に前線が停滞することで雨季となる。この中で、春から盛夏の間の雨季が梅雨、盛夏から秋の間の雨季が秋雨である。
ーWikipediaより抜粋ー

世界中で梅雨があるわけではなく、東アジア特有の気候だということが分かりました。

暖かい気団と冷たい気団が地表でぶつかると前線となり、雨が降るという仕組みは中学の理科で学習しますが、そのメカニズムはすっかり忘れておりました。

冷たくて湿っている「オホーツク海気団」と暖かくて湿っている「小笠原気団」とがぶつかり合い、押し合っている状況が「梅雨前線(ばいうぜんせん)」と呼ばれています。

梅雨(つゆ/ばいう)の語源
中国では、黴(かび)の生えやすい時期の雨という意味で、元々「黴雨(ばいう)」と呼ばれていたが、カビでは語感が悪いため、同じ「ばい」で季節に合った「梅」の字を使い「梅雨(ばいう)」になったとする説。 「梅の熟す時期の雨」という意味で、元々「梅雨」と呼ばれていたとする説がある。
ー語源由来辞典より抜粋ー

元々は「黴(かび)の生えやすい時期の雨」で「黴雨(ばいう)」とは、何とも嫌な印象ですが、同じ読み方「梅」の字を当てたことで爽やか度が増したように思えます。

「黴雨(ばいう/中国語読みではMéiyǔ)」
「梅雨(ばいう/中国語読みではMéiyǔ)」
同じ読み方ですので、黴を梅に変えたのは容易に想像ができます。

「黴雨の季節がやってきたね。」だと、憂鬱になります。
「梅雨の季節がやってきたね。」だと、「今年も美味しい梅干し作るぞ。」と思えます。

なぜ梅雨を「つゆ」と読む

ところで、なぜ梅雨を「つゆ」と読むのでしょうか?
諸説あります。
(参考サイト「なんでも梅学」https://minabe.net/gaku/kurashi/tsuyu.html

①「露(つゆ)」から連想した。

雨が降って植物に露(つゆ)が付いている状態が長く続くので、「雨降り」の季節そのものを「つゆ」と表現したのでしょう。
日本古来の言葉である大和言葉の「つゆ」に、中国からやってきた「露」の漢字を当てはめ、さらに「黴雨」を当てて「ばいう/つゆ」と表現し、現代の「梅雨」と書いて「つゆ」と読むのに発展したと考えるとしっくりきます。

②梅の実が熟す時期だから「つはる」から連想した。

古語で「つはる」とは、「(芽などが)外に現れようとする。芽ぐむ。」の意味があります。
(学研全訳古語辞典より抜粋)
現代の「妊娠の兆しが現れる」を意味する「つわり」の語源ともなる「つはる」から、梅の実が熟すことを「つはる」と表現し、それが変化して「つゆ」となった説。

ラ行四段活用である「つはる」から「つゆ」に変化するのには、相当長い時間がかかるだろうし、雨よりも梅に重きを置く言葉であるので、私にはちょっと連想しにくいと感じます。

③梅の実が熟し潰れる時期だから「潰ゆ(つゆ)」と関連つけた。

古語の「潰ゆ(つひゆ)」が「つゆ」に変化したのでという説。
梅の実が熟し、さらに時間が経過すると潰れます。

「長雨のせいで梅の実が潰れる」と関連づけて、それを季節を表す言葉にするとは、かなりひねった考えをしないとたどり着かないように思えます。
「ああ、梅の実が潰れる季節だねぇ」などと悠長にはしていられません。

「早く収穫して梅を漬けてください。」と主夫目線で感じてしまいますので、「潰ゆ」から「つゆ」の季節になるとは考えにくいです。

④カビのせいで物がそこなわれる「費ゆ(つひゆ)」から連想した。

黴(かび)の生えた食品が体に良くないことは昔の人も知っていたことでしょう。

確かにかびが発生しやすい季節で、保存していた食品がダメになる季節ではありますが、季節の移り変わりを美しいものだと感じる古代日本人の感覚を想像するに、わざわざマイナスイメージである黴に関連づけて季節の名前にするでしょうか?

食品がダメになる「費ゆ(つひゆ)」の季節だから「つゆ」と表現するなんて、どれだけ苦しくて困った季節なのでしょうか。
むしろ、雨は国土を潤す大切なものなので、米作りを大切にすることから雨を歓迎していたのではないでしょうか。
昔も今も、美しい日本語であって欲しいとの願いから、私は「費ゆ」説は否定したいです。

私の想像

以上のことから、「梅雨」を「つゆ」と読むのは「露」からの連想だと思います。

はっきりと語源が分からないほどの昔からあった言葉だとする説が有力のようです。

雨に関連する熟語・慣用句・ことわざ

せっかくなので雨に関連する熟語・慣用句・ことわざを調べてみました。
私の勝手な主観で、「へえ〜。そんな言葉があったんだ。」と思うレベルのものです。
読めますか?そしてその意味を知っていますか?
(意味はgoo辞書より引用)

白雨(はくう)
明るい空から降る雨。にわか雨。

黒雨(こくう)
空を暗くするばかりに降る大雨。

法雨(ほうう)
仏語。仏の慈悲が衆生 (しゅじょう) をあまねく救うことを、雨が万物を潤すことにたとえた語。のりのあめ。

麦雨(ばくう)
麦が熟するころ降る雨。五月雨 (さみだれ) 。

怪雨(かいう)
つむじ風で巻き上げられた土砂や魚・虫などが、雨にまじって降ってくるもの。

膏雨(こうう)
農作物をうるおし、生育を助ける雨。恵みの雨。甘雨。

雨皮(あまかわ/あまがわ)
1 牛車 (ぎっしゃ) ・輿 (こし) などの雨覆い。表は練り絹で油をひき、裏は生絹 (すずし) 。公卿以上に用いた。
2 桐油 (とうゆ) をひいた厚紙で作った雨具。山伏などが着用した。

雨注(うちゅう)
矢・弾丸などが、雨の降るように盛んに飛んでくること。また、盛んに浴びせること。

糠雨(ぬかあめ)
霧のような細かい雨。霧雨。こぬかあめ。

雨食(うしょく)
雨水による浸食作用。

雨師(うし)
雨をつかさどる神。

雨仕舞(あまじまい)
雨水が建物内部に入らないようにすること。また、その施工方法。

雨走り(あまばしり)
近世、兜 (かぶと) の眉庇 (まびさし) のこと。

雨畑石(あまばたいし)
山梨県南巨摩郡早川町雨畑で産する黒色の粘板岩。硯 (すずり) にする。

時雨煮(しぐれに)
ハマグリなどのむき身に、ショウガを加えて佃煮 (つくだに) 風に煮上げた料理。

雨垂れ石を穿つ(あまだれいしをうがつ)
小さな努力でも根気よく続けてやれば、最後には成功する。点滴石を穿つ。

朝雨に傘要らず(あさあめにかさいらず)
朝の雨はすぐにあがるから傘の用意は要らない。

俄雨と女の腕捲り(にわかあめとおんなのうでまくり)
にわか雨は大降りでもすぐにやみ、女の腕まくりは驚くに足らぬところから、恐れるに足りないことのたとえ。

雨に沐い風に櫛る(あめにかみあらいかぜにくしけずる)
雨や風に身をさらす意で、苦労することのたとえ。櫛風沐雨 (しっぷうもくう) 。

海棠の雨に濡れたる風情(かいどうのあめにぬれたるふぜい)
美人が、雨にぬれた海棠の花のようにうちしおれている、可憐なようすのたとえ。海棠の雨を帯びたる風情。

まとめ

毎年この季節に誕生日のお祝いをいただきます。
私の誕生日は6月6日。
「ハッピーバースデーつーゆー」と歌われるので、梅雨の季節が嫌いではありません(笑)

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伊東 稔

伊東稔/Minoru ITO 骨盤矯正と姿勢改善の専門家 カイロプラクティック伊東(長野市)院長 兼業主夫でもあり料理好き 『ねこ背を治す教科書』著者 http://amzn.to/2qB9VS2

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